延命治療とボディートーク

「友人の畑でとれたので、おすそ分けです」とコスモスをいただきました。生命力を感じます!

 

つい先日、こんなボディートークのセッションへの感想をいただきました。

 

『私の母は脳出血にて、6か月間、尊厳死協会の会員でありながらも、一度病院へ入院しますと、延命治療。本格的には、今年の7月3日から、高カロリー輸液となり、その間、千恵さんに遠隔にて治療していただきました。後遺症はなくなり、食べる事もできるようになりました。医師、看護師、介護福祉士みな驚いていました。歴史の長い病院で、延命治療をやめて家に帰ることができたのは、母が初めてだそうです。遠隔治療にて治りました。絶望の病院生活の中で、千恵さんに魂も救われました。』

 

短い文書の中にも、いろいろな想いが詰まっているのを知っているので、胸がいっぱいになりました。

もちろんボディートークは、「治療行為」ではないですし、「治る」という言い方はしてはいけないのですが、あえて頂いたままの形で掲載させていただきました。

 

これからの高齢化社会においてのボディートークの可能性、遠隔セッションに関して、介護する側の想い、介護の末に訪れることに対しての想いなどなど・・・。私自身がいろいろ考えさせられる出来事だったので、クライアントさんに承諾をいただき、ブログに書かせていただくことにしました。

 


感想をいただいた方(娘さん)も、ボディートークのクライアントさまで、ご自身自身が、長年の喘息と不眠、虚弱体質でお困りで、ご本人曰く、生死の境を何回も彷徨ったことがある、と。そんな折に、ボディートークを知り、試してみてくださいました。

その方のお母さま(83歳)に、ボディートークをさせていただいたきっかけは、2017年8月、高齢による腰の湾曲による脱腸で手術をされ、術後のリハビリのために、娘さんに勧められて、ボディートークを取り入れてくださったのです。

最初の1回だけは、ご自宅に伺っての対面セッションを行いました。その後、現在までのセッションは全て遠隔で行いました。(*遠隔セッションとは、クライアントさんと私が会っていない状態でのセッションをいいます。この場合は、クライアントさんは病院、私は家のセッションルームからクライアントさんをイメージしてセッションをします)

初めてのボディートークのセッション後は、脱腸の術後経過もよく、順調に回復されていかれましたが、そんな矢先。2018年2月にご自宅で転んで大腿骨骨折されてしまいました。

 

高齢者の大腿骨骨折。

 

これはよく聞く話です。うちの祖母もそうでしたが、このことがきっかけで歩けなくなり退院できず・・・と、経験上、何か不穏な未来を想像してしまいますが。

 

ですが、そのお母さま!

 

なんと、2ヶ月のリハビリを経て退院されました!しかもご自身で歩けるまでに復活!これは私も驚きでした。お強い方ですね(^-^)

 

これで一安心、と思っていた矢先。さらなる試練がお母さまに訪れます。

 

退院1週間後に体のしびれとめまいがでて、救急車で病院に運ばれました。ですが、原因不明で、この時点では、一時帰宅させられたそうです。その後、左半身が完全麻痺になってしまい、再度病院に行った先で、脳出血があることが判明し、入院に至ったそうです。

脳出血の症状があるけれども、手術をできる訳でもなく、今のところなすすべもなく、でも帰宅するわけにもいかず、結局入院した病棟は、高齢者の介護療養型の病棟。

この病棟に入院せざるをえなかったのですが、ここからが、いわゆる延命治療の始まりだったそうです。

開ききって、夕方になっても閉じない蓮は寿命なんだそうです

 

ご飯も食べられず、ずっと点滴につながれ、動かない左半身に対するもどかしさ、全身が痛い痛いと涙し、「なんで自分はこんなことになってしまったの?」と嘆くお母さまを見ながら、なすすべがない・・・こんな中で、ボディートークの遠隔セッションを依頼されました。

 

最初の数回は、体の痛み(痛みを感じる感覚)と、脳出血に対するセッションで、脳内の血液・間質液の循環を促し、脊椎間の神経の伝達など、リハビリのセッションが続きました。セッション後は、痛みが軽減したり、熱も下がったりはするものの、しばらくするとまた熱がでたり、と小康状態が続きました。麻痺もまだありました。

 

しばらくして、お母さまが「病室におばけが見える」とか「男の人の影が3人きている」などの発言が始まったそうで、この辺りからご家族も「そろそろなのかも・・・」と、なんとなく看取りを覚悟されたりもしたそうです。

 

こんな状況でも、ボディートークは、ただただ、その方の身体に耳を傾けます。

 

少し詳しい言い方をすると、その方に本来備わっている生まれつきの自分を治癒する方法を知っている「インネイトウィズダム=天性の知恵」に、「今、身体のどこをバランスする必要があるのか」をひたすら訊いて、タッピングで整えていくしかないのです。

なので、ボディートーク的には、セッション後の結果は、どんな可能性もありなのです。

その方の治癒力が発揮され回復していく場合もありますし、時によっては、その逆の方向性を助長してしまうこともあるのです。それはひとえに、その方の治癒力次第なのです。

ボディートークを信頼してくださり、定期的にしばらく、遠隔でセッションを続けさせていただきました。すると、次第にお母さまのお気持ちも落ち着かれていかれ、「もう私は長くない。死ぬのは分かったから、どうせ死ぬなら家の天井をみて死にたい!」と言われるようになっていきました。

 

これは、変化です。しかも、私はこれを前向きな変化だと感じました。嘆いてばかりで、恨みつらみばかりだったお母さまが、ご自身の状況を一旦受け止められて、それに向けてこうしていきたい、という意思を持たれたのです。

 

そして・・・。気づいたら手足の痺れがなくなっていました。

 

入院から数ヶ月経ち、左半身の麻痺はなくなり、お水もご飯も飲み込めるようになり・・・ついには起き上がり、車椅子に乗ることもできるようになりました(^-^)

この時点で、これ以上、病院にいる必要がなくなってしまいました。ご本人の意思もあり、在宅介護の手配が進み、10月末にするりと退院をされたのです!!

その病院は、キリスト教系の病院なので戦時中も空襲を逃れ、明治時代から続いている長い歴史のある病院なのだそうですが、延命治療から帰宅を果たされた方は、病院が始まって以来初めてだそうです。お医者さんも看護師さんもみな驚かれているそうです。

 

ちなみに、帰宅を果たされたお母さまは、在宅介護で要介護認定5ですが、介護の際にも、ひょいと腰を自分で持ち上げることもできて、介護士さんからは「優秀ですね〜」と褒められているそうです(^-^)

奈良・喜光寺さんの仏跡。お美しいこの仏像が好きなんです

 

入院中、特に麻痺がとれてからは、寝ている間に無意識に点滴を取らないように、両手を縛られ、お水を飲めるのに、お腹も空いているのに点滴だけで過ごさされ、身動きが取れない同じような方々のうめき声が聞こえる病棟で毎日を過ごし、介護される側も、付き添う側も精神的な負担が大きかったそうです。その娘さん曰く「あそこは生き地獄です」と。

 

在宅介護になられてからは、週に数回、ヘルパーさんによって入浴も可能になり、お風呂好きのお母さんはニコニコ!天井を向いて、気持ちよさそうにお風呂に入っている様子をみれただけで、連れて帰ってきてよかった、と。娘として、お母さんにやるべきことをやってあげられた、と。

娘さんもご自身の責任を全うできた、これでもういつ亡くなったとしても本望だ、とおっしゃっていました。

 

いやいや・・・!

 

帰宅後のお母さま。よく食べ、よく笑い、入院生活なんて嘘のように忘れられているそうで、次なる目標は車椅子から自力で立って歩くこと!だそうです(^-^)こちらも引き続き、ボディートークで何かサポートができればと思っています。

 

脳出血で入院されてから退院するまで、7ヶ月に渡り9回のボディートークセッションをさせていただきました。全て遠隔セッションです。

 

先の見えない長期に渡る延命治療、介護する側の精神的・金銭的な負担もきっと大きいはずです。そして、何よりも、子供としてやってあげられることを全うした、後悔はない、介護する側、される側の満足感やお気持ちもとっても大事ですよね。

延命治療とボディートーク。

何か介護の新しい姿を見せていただいたような気がしました。もし、同じような環境にいられる方がいらっしゃれば何かのヒントになればと思い、シェアさせていただきました。

 

ブログにするこをお許しくださったクライアントさまに感謝します。